Lesson

レッスン

国立音楽大学

授業:声楽レッスン、ドイツ語ディクション、ドイツ歌曲演習
アンサンブル演習(歌曲、オラトリオ)

個人レッスン

東京 :国立市
群馬 :高崎市の自宅
関西 :三重県名張市(土曜日)と奈良県奈良市(日曜日)にて 月1回

コーラス指導/ヴォイストレーニング

女声合唱団「双葉会」 月1回 金曜日10:00~11:00 高崎市塚沢公民館
女声合唱団「ヴォアクレール」 不定期月曜日10:00~12:00 絣の里 (伊勢崎市)
*メンバーは随時募集中です*

»興味のある方はこちらまで

レッスンについて 私の考え方

私はウィーンとスイスの大学で、計5年間勉強しました。
特にスイスのクルト・ヴィトマー(Kurt Widmer)教授の「からだをのびのび使う」教えは、とても自由で個性的なもので私の発声や指導方法に大きな影響を与えてくれました。
その教えを私なりに理解し、指導の軸としています。
以下に、私のレッスンについての考え方をまとめてみます。

★からだを使って歌う

基本的に歌うことはとても単純で、からだの中にある響く場所、共鳴腔(レゾナンス)を十分に鳴らせば、声は響きます。

共鳴腔とは、頭蓋骨、顔の表面、鼻腔、胸骨など、とにかくからだの中にある「空間」のこと。さらに脊髄が振動し「からだ全体」が鳴ります。からだの中が鳴って共鳴すると、そのヴァイブレーションが体外に出て空気を振動させ、響きとなるのです。
こう思うと、骨格や骨がいかに大切かが分かりますね。昔はよく歌うには太っていた方がよしとされていましたが、この考えで行くとからだが太い必要はないと思います。
骨でできた笛はありますが、脂肪でできた笛はない事からも分かります。ただし筋肉は必要ですが…。

ヴィトマー氏は特にこの「骨」と「関節」に注目しています。
関節が柔らかく動けばからだの動きは自由に解放され、楽に歌う事ができます。緊張するとまず関節が固くなるので、それがどこであるのかを見分け、的確に指導することが教師に求められます。

★関節を正しく繋ぐ

関節は体中で繋がっているので、どんな小さな関節でも力が入るとすべての関節に緊張感が伝わり固くなってしまいます。反対を言えば、あごが固くて歌いにくい場合は、腕の関節を動かしたり、膝を緩めたりすれば、ほどける事もあります。
この感覚を知る為のメソッドとして、仰向けになって寝て膝と足首を立て、頭を動かします。するとすべての骨が一緒に動くので、骨格の関連性を感じることができます。

さらに、寝ている時は必ず複式呼吸をしているので、寝たままの状態で思いきり吸ってみることで息がお腹(下腹部)にたっぷり入る感覚も覚えることができます。このときに、胸骨も大きく開いていてかつ柔らかく動いている感覚も取得します。
感覚を忘れないうちに、この体操の後立ち上がって同じような呼吸ができるか確かめてみる事が大切です。

★良い姿勢が大事

前後しましたが、骨が歪みをとるために、メソッド前の準備運動のような内観瞑想のような事を一つ紹介したいと思います。

椅子に座り、まず上半身を大きく息を吐きながら脱力させます。頭は完全に下向きの位置から、できる限りゆっくりと上半身をおこしていきます。このとき脊椎の一番下、腰から積み木を積み上げるように一本、また一本と想像しながら脊椎を組み立てて行きます。首まで起き上がったら最後に頭蓋骨を上からかぶせるようなイメージを持ってください。

このメソッドを行うと、普段思っていた正しい姿勢の観念が変わります。

私たちがする正しい姿勢はいわゆる「気をつけ」の用で胸を反らし、お腹をへこめています。このいわゆる「良い姿勢」だと胸骨が硬くなり、そのために呼吸の流れが止まり浅くなりがちです。この骨を組立てるメソッドによって、上半身はまっすぐ立ちながら決して無理のない自然な姿勢ができます。このままずっと動かないでいることもでき、関節も柔らかいままになります。このように背骨がまっすぐな状態をまず作って、歪みやアンバランスを解消できたら、他の関節を動かす次のメソッドに行きたいと思います。

★肋骨を開く

さて、それでは肋骨を開くメソッドです。
効果的なのは、左腰骨の低い位置(股関節)から右胸の下、肋骨の上の方まで手でお腹を斜めにさすりお腹と肋骨のバイヤスに流れる筋肉(インナーマッスル)の動きを感じることです。左右交互に7回ずつ。

これによって肋骨は肺の膨らみに(息が入っていようがなかろうが)依存せず、常に開いた状態にいられるよう筋肉を鍛えることができます。これはまず椅子に座った状態で行うと分かりやすいでしょう。上半身の開放感が味わえます。そのあと、立った状態でも同じようにやってみましょう。

★からだの軸を作る

次はからだの軸を作るメソッドです。
頭のてっぺんからからだの中心を串刺しにして両足の真ん中に一つの軸があると想像します。足は片足を軸足、片足はつま先だけ付けて遊び足にします。そのとき片手で頭の上に一点を触りながら、肘を顔の前からからだの真横に動かすと肋骨を開く運動も併用することになります。右手が上の時は左足が軸足で、その反対も。左右7回ずつ行います。

★骨盤を柔らかく

次に骨盤を柔軟に動かすメソッドです。
これは乗馬を思い出していただけるとよいですが、骨盤を上下に動かしバランスを取ることで、上半身の胸骨も連動します。
このとき他の部分を注目してみると、大腿部の付け根やひざはもちろん柔らかくなっています。この部分の柔軟さはとても大切です。
これもまず椅子に座ってやってみて、次に立って練習すると良いでしょう。このとき片足ずつ重心をかけること。両手も一緒に前後に動かすと、イメージがわきやすいでしょう。
大体この辺まで体操をすると、上半身が柔らかく、且つ広がりを持っており、下半身は低く足の関節も柔らかくなっていると思います。そこで実際に歌うときにはどんな事をするのか、実践メソッドを説明したいと思います。

★実践メソッド

ヴィトマー先生はアイディアが大変豊富で、色々な道具(ボールや新聞紙、ツイスト版、ゴムのストレッチバンド、筆記用具と紙など)を用い、その場の聴講生も全て参加させて、まるで子どもの遊びのような楽しいメソッドをやらせてくださいました。

いわゆる「発声学」というのでしょうか、頭で理解させるのは最初のレクチャーだけ。鼻の辺りを注意して響かせなさい、のどを開けなさい、重心を下げなさい、など通常学ぶ歌のテクニックに関しては、基本的にほとんどおっしゃらない。
頭で考えると、さてどう歌おうか、どんな声を出そうか、出したいか、それにはどんなテクニックが必要かなど、身体をコントロールしようと頑張ってしまいます。しかしそうすることで思いとは裏腹に、指示されたからだは緊張してがんじがらめになってしまい、本来持っている自由な動きが出来なくなってしまう、というお考えでした。

もちろん「考えなくていい」と言う誤解が生じないよう付け加えておきますが、まずからだの事を良く知り、頭で考えるのでなく、からだの意思によって行動すること。本来の筋肉や骨のバランスを大切に自然な動きを損なわないよう気をつけること。その正しい感覚を客観的に自分の中に取得していくと言う事が必要とされます。
つまり、良い声に必要なのは身体のバランス感覚と客観的で優れた判断力、そして繊細な感覚なのです。